理系男子、英語勉強に物申す

理系男子、英語勉強に物申す

TOEIC600点でアメリカ人女性と結婚した理系男子のお話

英語は流暢・自然である必要なし

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「今、どれくらい流暢に英語を話せているのか?」
「今使った英語は、果たして自然なのだろうか?」

英語学習者であれば、誰しも、上記のような疑問を一度は自分自身にぶつけたことがないだろうか? 実際、そういうものを解説している書籍やブログは数多く存在する。

でも、その流暢・自然さというのは、実際問題、どこまで必要になるのだろうか?
ちょっと一緒に考えてみましょう。

流暢・自然な話し方の定義

まず初めに、ここでは英語の流暢・自然な話し方の定義を以下のようにします。

「英語を第一言語の人が一番多い国の人々が流暢・自然だと感じる話し方」

みなさんがイメージされている通りだと思いますが、英語を第一言語として話している人が多い国は もちろん、アメリ[1]。よって、アメリカ人が流暢・自然だと感じる話し方を、流暢・自然である、と定義しましょう。

どれだけの人が、相手の英語の自然さを気にするのか

ところで、英語を使って話す人は、全員が全員アメリカ人というでもなければ、他の英語圏の人というでもないです。 いわゆる非ネイティブの英語話者も、当然世の中には数多くいます。それには、もちろん我々も含まれています。 そんな我々のような非ネイティブの人たちというのは、この世の中にどれだけいるのでしょうか?

wikipediaによると、2018年現在、世界人口は76億人だそうです[2]。 その中で、ネイティブ、非ネイティブを含めた英語話者の数も見てみると[3]、 以下の図1のグラフが出来上がります。

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図1: 世界の人口と英語話者の比率

 

上記図1を見ると、我々非ネイティブの数の方が、ネイティブの数よりも2倍ほど多いことがわかります。つまり、今の世の中、英語話者の3人に2人が非ネイティブなのだ。

……っということは、いくらこちらが頑張って(アメリカ人の感覚を基準とした)流暢で自然な英語をしゃべろうが、 その流暢さ・自然さを第一に気にするであろうネイティブの人は、聴衆の半分にも満たない。

逆に言えば、こっちが話した英語が(アメリカ人の感覚を基準とした)流暢さ・自然さがあろうがなかろうが、 それを聞いた半数以上の英語話者はそんなのを気にしないというわけです。

旅先 (日本)での英会話: 筆者の場合

「TOEIC600点台の人間に英語の何がわかる!」

……と、TOEICの点数の高い人達に怒られそうな気もしますが、 筆者がここで言いたいのは、英語が話せるかどうかと、TOEICのような英語の点数が取れるかどうかは、 まったく関係ない、ということです。

それを裏付ける(?)外国人にも人気なとある日本観光地で経験した筆者の英会話のエピソードを一つご紹介。

キッカケは些細なことから

友達数人と一緒に外国人にも人気な日本観光地へ旅行に行ったときのことです。

その旅先で、とあるアクティビティに参加。
そのアクティビティの参加者の中に3名の外国人グループがいました。 外国人にも人気な日本観光地では特に珍しい光景ではないので、普通はスルーしますが……

筆者らの参加したアクティビティは、その説明を受ける場所から、実際にやる場所までの距離がちょっと遠く、 行き、帰りともに、参加者全員で歩く必要がありました。

そこで発生するのがグループの垣根を越えた会話。特に帰りは、 参加者全員が共にそのアクティビティをやり遂げた達成感があるのか、 グループの垣根の越え方が半端なく、それに巻き込まれて(?)しまった……というのがコトの始まりです。

日本にいて英会話が必要になる瞬間って、意外とあるもんですよ。

その外国人グループはスイス人

英語が話せない日本人のプチ通訳 (笑) を経て、最終的にはその外国人グループの一人と会話することになりました。 お話を聞いてみると、チューリッヒ近辺に住んでいるスイス人だ、とのこと。

スイスでは、ご存知の通り、英語は第一言語ではありません。 なお、スイスで話されている言語は以下の通りです[4]

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図2: スイスで話されている言語の比率

 

スイスはこういった背景から、世界で多くの人が話している英語が通じる国になっていますが、彼らスイス人と我々は同じ非ネイティブだ、とも言えますね。 つまり、我々は、(アメリカ人の感覚を基準とした)流暢で自然な英語で彼らと話す必要性がなくなるわけです。

あなたの英語は完璧だ!

そんな折、会話の途中でそのスイス人から言われたのは…

Your English is perfect!

……お世辞か皮肉かはさておき (ぉぃ
一応、会話は盛り上がったので、好意的に受け取っておきましょうか。

たかだかTOEIC600点の人間でも、話している英語が流暢でも自然でもなくても、 相手からそう言ってもらえるような英会話はできる、ということをここでは言いたい。 (ただし、英会話に関する最高の褒め言葉は ――自分の話している英語に関して相手から何も言われないこと―― だと思っている)

完璧とは何か

恐らく、TOEIC高得点の人が筆者の英語を聞いたら、 「コイツ、そんな英語で会話して、恥ずかしいと思わないのかなぁ……」と思うでしょう。 なぜなら、筆者の話す英語は、TOEIC600点台にありがちな文法間違いや、覚えている (使える)語彙が少ない、 といった特徴を持つので。

でも、そもそもの会話の目的って何でしょうか?
自分の話す英語を(アメリカ人の感覚を基準とした)流暢かつ自然にすること?

それは違う、と筆者は思います。会話の目的ってのは、筆者が思うに……

「自分は何を伝えたいのか、相手は何を伝えようとしているのか、を探り合うこと」

……なのかな、と。

で、その会話が完璧になる、というのは、以下の2つの項目が満たされたときだと思っています。

  • 自分の言いたいことが相手に(正しく)伝わっている
  • 相手の言いたいことが自分に(正しく)伝わっている

如何に自分が(アメリカ人の感覚を基準とした)流暢で自然な英語で話せても、 それが相手に伝わらなければ会話の意味はないですからね。。。 こういった、お互いの伝えたい内容・理解内容を確認し合えるか?」ということが大事だ、 というのは前回の記事でもお話ししましたね。

mr-wfi-k.hatenablog.com

実際、このスイス人との会話も、筆者が聞き取れなかったところ・理解できなかったところは 相手に確認し、再度説明をしてもらって、筆者の発言内容を相手が理解できていなかった部分は、 筆者が再度説明していました(その際、説明方法は逐一変えている)。

そういうやり取りを英語という言語を通じてしていたことに対して、このスイス人は筆者に、

Your English is perfect!

と言ってくれたのではないか、と勝手に推測しています。(もしくは、私よりしゃべれる日本人に会ったことがなかった……とか?(笑))

まとめ

筆者の経験を基に、筆者が感じた英会話で気にするべき事項はコレ。

  • × 自分はどれだけ流暢に・自然に英語を話せているか
  • ○ 自分は何を伝えたいのか、相手は何を伝えようとしているのか

最初の方に挙げたように、今や英語話者の半分以上は非ネイティブです。そのため、英語での会話の際、 「三単現のsがない」「時制が合っていない」「適切な語彙が使われていない」など、 TOEICなどの英語テストでは×にされる内容も、その会話の中で、 「自分は何を伝えたいのか、相手は何を伝えようとしているのか」がお互い理解し合えていれば、 それでもう英会話は満点なのだ。

ただし、流暢で自然な英語が必要ないからと言って、語順を気にせず言いたい内容の単語だけを適当に発するのはダメ。 英語は語順(とアクセント・リズム)が大事な言語です。その英語ルールの枠から大きく外れた内容(および間違った発音)は、 不自然ではなく理解不能と呼びます。この点は非常にお気を付けください。

補足: 非ネイティブ同士の会話

ちなみに。
非ネイティブ同士の会話は非常に楽です。だって、よく口うるさく言われる 「(アメリカ人の感覚を基準とした)流暢で自然な英語」を気にする必要がないから。

そんなのをいちいち気にするのって、 陰湿な日本人くらいでは?(笑

実際、筆者の妻 (アメリカ人)でさえ、この筆者の不自然な英語を (それほど?)気にしていません。 しかも妻からは「日本人にしては上手」というお墨付きをもらっています。でもそれは、筆者が非ネイティブだから。 そもそも、ネイティブだって (文法的に)完璧な英語なんて話していません。それって、日本人が使っている日本語も同じでしょう? 気にし過ぎなんですよ、陰湿な日本人は。

それはさておき……
そういった非ネイティブ同士の会話で、筆者がまず初めに気にかけているのは、

「相手の国と、そこで使われている言語」

です。大体、会話が盛り上がってきたタイミングで、その2つを相手に聞きます。このタイミングが非常に大事。 会話の始めにいきなりその2つを聞くと、萎えてしまう外国人は多いはず(「どこから来たの?」は、 もう聞き飽きているフレーズでしょうから)。

ところでみなさんは、海外旅行した際、我々日本人を見かけた現地人があえて日本語であいさつしてきたとき、 なんとなく嬉しくなり、それと同時に相手に対して親しみを覚えた、という記憶はないだろうか。

筆者はそれを故意に作り上げようというわけだ。

今回、チューリッヒ近辺に住んでいるスイス人と話したわけですが、その地域でよく話されている言語はドイツ語だ、 というのは、すでに知っていました。さらにドイツ語は、筆者が第二外国語として、高専・大学で履修済。

そのときは、そのスイス人に対してドイツ語で簡単なあいさつ程度しかできませんでしたが、その後の会話では、 お互いの心理的な距離がグッと縮まったような感覚を覚えています。

いやぁ、学校・大学で学んだことって、どこで役立つかわかりませんね。

このように、いくら英語が流暢かつ自然に話せなくても、相手が一番馴染みのある言語で、 下手くそながらにあいさつをしてみると、ただそれだけで、相手が持つこちらへの印象は とても良いものに変わります。

せっかく習った第二外国語、少なくとも、外国人にも人気な日本観光地へ旅行に行く際は、 ちょっとでもいいから使える準備をしておくと、何かと役立つ場面に遭遇すると思いますよ。

それは、流暢で自然な英語よりも全然役に立ってくれるはずです。

参考文献

  1. "List of countries by English-speaking population," wikipedia
  2. "World population," wikipedia
  3. "List of languages by total number of speakers," wikipedia
  4. "スイス," wikipedia