米国妻のカタカナ英語からその付き合い方を考える
日本人が英語を学ぶ際に大きな障害になると言われているカタカナ英語。 そんなカタカナ英語は、国際結婚の家庭内でどのように使われているのかを 簡単にご紹介しつつ、カタカナ英語は本当に日本人が英語を勉強するうえで 障害となってしまうのかを考えてみる。
日本語を学ぶアメリカ人もカタカナ英語に苦戦
アメリカ人である妻は、もう日本に長いこと住んでいるので日本語はペラペラ。 下手すると(?)、私よりも日本語が上手かもしれません。
そんな妻でも、カタカナ英語は苦手。……っというか、英語の音に引っ張られていることが多いです。 例えば、「キ」が「ク」になる、とか(例: ×テクスト → ○テキスト)。
最近、面白いと思った妻のカタカナ英語間違いは以下の2つ。何を示しているかわかりますか?
- マッシュマロー
- ハマー
マッシュマロー
これは何かわかりますよね。これです。
確かに、マシュマロは英語でmarshmallow (発音記号: /ˈmɑːrʃmeloʊ/) で、発音記号を見ると、日本語の「マシュマロ」よりは「マッシュマロー」の方が近いかも。
でも、なんか、ノリノリな感じが良いですね、マッシュマロー。
ちなみに、我々夫婦はキャンプに行くとき、必ずこの "マッシュマロー" とチョコレート、ビスケットを持っていきます。 直火でこんがり焼き上げた "マッシュマロー" をチョコレート・ビスケットで挟んだスモアは、 キャンプのおやつに最高です。ぜひお試しを。
ハマー
最初これを見たとき、何かわからなかった。
うーん、M.C.ハマー?[1](爆
それはさておき。。。この正体はこれでした。
この文字を見て、答えがわかったときは思いっきり笑っちゃったっけ。妻よごめん。
でも、確かにハンマーは、英語でhammer (発音記号: /hˈæmɚ/) で、発音記号を見ると、「ン」にあたる部分が見当たらない。。。
カタカナ英語は、語学勉強で弊害を及ぼす?
このように考えている人は多いようですが、筆者は以下のように思っている。
× 日本人はカタカナ英語によって英語勉強が阻害される
○ 日本で使っている言葉がそのまま英語として使えると勘違いしている
そもそもカタカナは、英語の発音を日本人向けに正確に表記するために作られたものではないので、 カタカナで英語の発音を再現しようとするには無理があります。 (ご存知のように、アクセントや子音だけの発音は、カタカナだけでの表記は不可)
それに、外来語をカタカナ表記する目的は、(少なくとも現在は)英語の発音を正確に表すためではないです。 外来語のカタカナ表記ガイドラインを作成しているテクニカルコミュニケーター協会によれば、そのガイドラインの概要[2]は、
- 利用者が見聞きするときにわかりやすい表記であること
- 音声(Universal Design)対応にふさわしい表記である (読み上げたときに日本語として聞き取れる、聞き間違いが無い)こと
- 見聞きする人のスキルを限定しない(製品の利用者が技術者だけではないことを考慮する)
- 製品(専門色の強い製品と大多数人が使う製品の)間の垣根がなくなることに対応する (一般的な知識で複雑かつ高度な機能を使いこなせるように)
となっています。
これらの内容には納得です。元の外来語の発音だけを重視したところで、 元の意味がわからず、読みにくく、日本語の文章になじまなければ、とてもじゃないけど日本じゃ扱いにくいですからね(しかもカタカナだけでやろうとするので、元の外来語の発音表記としても不完全)。
カタカナ英語との上手な付き合い方
カタカナは日本語だ、という認識を持っていれば、ただそれだけで英語勉強に苦しむことはなくなるんじゃないか、と 個人的には思っています。
ここで「自分の下手な発音(カタカナ発音)で相手に理解されなかったらどうしよう。。。」と思う人はいるでしょう。 でも、それで伝わらなければ、別の方法で説明すればいいです。 例えば、お店の注文で「コーヒー」というカタカナ発音をしてしまい相手に通じなかった場合、 単にメニューを指さして「これ下さい」と言えばいいです。
英語でのコミュニケーションができないのはカタカナ英語のせい……ではない、と筆者が思うのはここです。
これは、和声英語でも同じ。例えば「コンセント」で相手に伝わらなければ 「えっと…電源ケーブルを差し込む穴のことだよ」と言えば、相手が「あぁ、outletのことね」と言ってくれて、会話が進むはず。
そういう会話を通じて、単語を覚えていく方がよっぽど身になると思います。
まとめ
英語学習者に忌み嫌われているカタカナ英語や和製英語ですが、それがあるおかげで……
「カタカナ英語じゃ通じないんだ!」
「これって実は和製英語だったんだ!」
という驚きと発見が得られるのでは、と思います。
これを「恥ずかしい・悔しい」と思うか「面白い・興味がわく」と感じるかは 人それぞれでしょうが、そういう日本語と英語との違いを楽しむことが、 語学勉強をする上で大事ではないでしょうか。